2018

小城故事 / The Story of a Small Town

二チャンネル映像、木材、段ボール、サイズ可変、7分32秒

30秒の抜粋・二つのチャンネルを横並びで表示

李行が1979年に監督した同名映画を、女性主人公・阿秀の日常と作中の客家の伝統演劇を通じて捉え直す作品である。映画が撮影された苗栗の三義は、邱子晏が育った場所と密接に結びついている。日常のせりふから母語が欠落していること、そして言葉を発することのできない女性の人物像は、戒厳令下の生活と自身の家族の記憶を再考するきっかけとなった。作家は母との会話を客家語の独白へと変え、阿秀の視点に別の表現を与える。

再編集された元の映画と、ワンカットで撮り直された映像が、二つのチャンネルに並置される。木材と段ボールで組み立てた室内のセットは骨組みを露出させ、演者たちは人工的につくられたと見て取れる空間のなかで演技する。似通った身振りや場面が二つの映像のあいだに対応関係を生み、鑑賞者の注意をカメラの枠の外へ、既存の物語では語られなかった日常の経験へと導きながら、言語、場所、歴史をあらためて結びつける。

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